2013年3月7日木曜日

最近読んだマンガおすすめ(1)

[河原和音×アルコ] 俺物語!!
「俺物語」はそんなに変わった話ではない。むしろ、ベタだから面白い。
猛男の類人猿のような容貌が、今の価値観(少女漫画の文脈の価値観)では女性の好みから最も縁遠いと思われるからこそ、ベタなセリフを乗せられる。
10代の頃の単純な愛の言葉、単純な気持ち、単純な行動は、歳をとって恋愛に失望しかけると青臭く陳腐に映るか、あるいは過ぎ去った思い出を懐かしむきっかけにしかならない。当の10代の読者が読んでも、彼らもすでに恋愛がそう単純なものではないと気づき実際に体験しているので、きれいごとと同じく薄っぺらいものとしか感じられない。
ところが猛男がそんな愛の言葉を放つと、最初は醜男と純愛という奇妙な取り合わせを愉快に感じるだけだが、そのうち「醜男」という歪んだ見方が消え去り、純粋な気持ちだけが後に残る。化学実験なのである。
猛男が見た目と裏腹に純情であるとか、大和の脳内フィルターは猛男のことをどう変換しているのかとか、この作品にはそういった細かい楽しみが無数にあるが、それにくわえて上記の化学実験で得られたまっすぐな愛のセリフが胸に心地よい。
猛男いわく
「好きだ」
この一言を心から味わうための作者の創意工夫であり、それが人気の理由の一つなのだろう。

[椎名軽穂] 君に届け
爽子も風早も実にうっとうしい。人は誰もが、思うように心を開けず、惑い、苦しむ。でも少しでも心を開けたらいいな。っていう成長物語を楽しめるのだが、最近は爽子の成長ぶりにたいして風早の幼さがじれったい。

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