2013年7月13日土曜日

クールジャパン発、大巨編映画「WATAMI」

Twitterから

6月2日@anony_mous_s


クールジャパン発、大巨編映画「WATAMI」未曾有の関東大震災が起きた近未来の日本。10年間引きこもっていた男に、国を愛する気持ちが芽生えた! 働いて税金を納めるべく日本トップの居酒屋チェーンWATAMIに「特別正社員」として就職する。

特別正社員の実態はただのアルバイトであり雇用条件も給金も劣悪である。だがその代わり正社員と同様の「名誉」が与えられる。会社を愛し国を愛する者だけがなれる名誉職である。特別正社員はいつクビを切られるかわからないしサビ残も長いが、己を捨てるからこそ会社に貢献できるのだった

低賃金なので各種税金を払うと食費にも事欠くありさまだが、サビ残すれば賄いを食べることができる。男は、WATAMIの配慮に感謝し、「今日もワタナベ社長からいただいた命をいただきます!」とみんなで唱和して余りものの飯を食べるのだった。もちろん賄いは安いが有料だ。

同僚が次々と鬱病や腰痛などで倒れ離脱していく。30代の半ばになっても手取り10万ちょいでボーナス無し。有給使えるわけなし。去った同僚のことは「やる気がない」「甘えてる」と侮蔑する。もうとっくにカルトである。

ついに男も倒れてしまう。どうしても今日は出社できないと電話をかけると「甘えるな。店で死ね!」と罵倒される。駅を降りて3分のビルに彼の勤めるWATAMIはあるが、ふらつきながら駅を出ると、あとは文字通りに這いつくばって店の前までどうにかたどりつく。目がかすむ。

何度か気を失いそうになりながら、芋虫のようにエレベーターへ乗ろうとしていると、後ろからワタナベ社長がやってきた。「社長! 見てください。僕はがんばっています」と声をふりしぼる。ワタナベは言い放つ。「俺は結果しか求めない」「動けないのは努力が足りないからだ」

「日頃の行ないが今日の自分を決める」「出社できないお前には何の価値もない」ワタナベは腹心の部下に目で合図し、「ゴミを出しておけ」と言い残してエレベーターへ乗り込んでいく。男は両足を引きずられ、路地裏へ投げ捨てられる。雨がゆっくりと降り注ぐ。

救急車で搬送され生死の境をさまよった主人公。気がつくと病室には見知らぬ男のほほえむ姿が。「今何時ですか!? 出社、出社しなきゃ!」と立ち上がろうとする主人公をおしとどめ、男が口を開く。「もうWATAMIはあなたを必要としていないんですよ」号泣し、ついには気絶する主人公・・

謎の男が問いかける。「あなたは本当にがんばったんですか」「倒れるほどがんばりました」「死ぬ覚悟で?」「死にそうになりました」「死んでないじゃないですか」「えっ」「死ぬ気でがんばったと口で言うのは簡単です。死んでないなら、死ぬほどがんばってはいなかったんです」「えっ」

「あなたより給料も安くて、身体に障害を抱えていても、がんばっている人は大勢います」「はあ」「毎日ご飯を食べられたでしょう?」「はい」「それ以上何を望むんですか?」「はあ」「みんな貯金もないし結婚もしていません」「はい」「それでも文句を言わずがんばってるんですよ」「はい・・」

「このまま寝てすごすつもりですか?」「いえ」「また引きこもるつもりですか?」「いいえ」「じゃあがんばらなくちゃ」「でも、もうWATAMIに僕の居場所はありません」「ありますよ」「えっ」「まずはWATAMIの清掃から始めてみませんか」「お給料はいかほど」「前職の半分です」

「はあ」「でも心配いりません。今年から政府が低所得者向けに集団生活を送れる施設に入居することができます」「おお」「6人くらいの相部屋ですがお風呂もついています」「すごい」「食事もできますよ」「最高ですね」「もちろんお給料から天引きになりますが」「かまいません」

タコ部屋で暮らし、奴隷のような労働環境で生きる主人公。施設には天皇やワタナベの肖像が飾られ、部屋を出入りするたびに肖像に礼をしないといけない。清掃のほかに日雇いで重労働をしたり、施設内の清掃や食事の準備なども入居者の仕事である。

夜遅くに仕事が終わると、人生論や自己啓発術を語ったワタナベの著書を読んだりDVDを観て、毎日それについて思ったことをレポートにまとめて提出しないといけない。「出社前に倒れたときの自分は未熟だった」「今、こうして立派に社会復帰できたではないか。成長したのだ」などと主人公は書き連ねる

クールジャパンアクションの弁論大会、一般の部において、主人公は登壇する。「日本人の美徳。それこそがクールジャパンの精神」「私のような弱者をこうして社会復帰させていただいたことがクールジャパン」「どんなに敵が強くてもあきらめないでがんばるアニメを観た。まさにクールジャパン」

「WATAMIのメニューはクールジャパン」「日本人のやさしさがクールジャパン」「僕がクールジャパン」「みんなクールジャパン」このように支離滅裂な戯言が拍手喝采される。ネット中継の映像では、ニコ動を模した参加者のコメントが流れるが、誰も批判はおろか皮肉すら書かないでいる。

その昔、低迷したmixiが「みんなマイミク」という俗悪な動画をリリースしていたが、あれを上回るひどさの映像が流れていく。WATAMIの制服を着た従業員が踊り狂うアニメーションだ。
http://www.youtube.com/watch?v=uKpNoy3fUDE

ちょっとオタクなボクら スマホでつながる コミュニケーション
ずっと日本のアニメ 愛してきたんだ エボリューション
伝統と創造 そんなジャパン 好きだから
だいじにしよー フロムジャパン
※クールジャパ~ン(萌え萌え萌え萌え)
クールジャパ~ン(萌え萌え萌え萌え)
※くりかえし

このひどい歌詞にあわせて工作員たちのコメントがジェット機の飛行機雲のような弾幕をつくりあげる。萌え萌え萌え萌え! 萌え萌え萌え萌え! 

主人公をはじめ大会参加者たちもビデオの前で踊り狂う。日本の伝統である盆踊りを現代風にアレンジしたという奇妙な振り付けだ。あ~あ萌え萌え萌え萌え。よいっしょー萌え萌え萌え萌え。

カメラはその狂騒を俯瞰する。外国人男性たちがその模様をネット中継で鑑賞しながら喜ぶ映像が重ねられる。


画面は暗転し、すでに元ネタから乖離した無意味な言葉がスクロールしてく。
「これは安倍ちゃんGJだね! これはWATAMI GJだね! これはクールジャパンGJだね!……」
http://blog.goo.ne.jp/ngc2497/e/1abdce4d57a66e1744931ec1a37de317

END(日本の)

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